🚃長浜鉄道スクエア&柳ヶ瀬トンネル|切符1枚でパリへ——日本最古の駅舎から始まる鉄道遺産旅🌏
長浜から始まった。
家族で楽しめて、鉄道ファンも唸る——長浜起点の鉄道遺産めぐりガイドです。
「長浜に、日本でいちばん古い駅舎がある」——ご存じでしたか。1882(明治15)年、北陸線の起点として建てられた初代長浜駅の駅舎が、いまも当時の姿のまま長浜駅のすぐ隣に残っています。それが長浜鉄道スクエア。D51(デゴイチ)の運転席に座れて、鉄道模型を走らせられて、入館料は大人300円。夏休みの子連れおでかけ先として、実はかなりの実力派です。
そしてこの駅から敦賀へ延びた線路は、やがて「1枚の切符で東京からヨーロッパまで」という壮大な旅の入口になりました。館内で歴史に触れたら、車で県境へ——明治の煉瓦トンネルを実際に通り抜けられる、旧北陸線の遺産ルートまでご案内します。
🚉 長浜鉄道スクエアとは|料金・営業時間・アクセス
長浜鉄道スクエアは、JR長浜駅の西口から徒歩3分。「旧長浜駅舎」「長浜鉄道文化館」「北陸線電化記念館」の3つの建物からなる鉄道の博物館です。3館は中でつながっていて、行き来しながら見学できます。
所要時間の目安は、展示をひと通り見て60〜90分ほど。鉄道模型の運転体験やおもちゃコーナーで遊び始めると、お子さま連れは2時間コースになることも。町歩きや食べ歩きと組み合わせやすい、ちょうどいいボリュームです。
✨ 見どころ|日本最古の駅舎・D51・鉄道模型
🏛 旧長浜駅舎——現存する日本最古の駅舎
1882(明治15)年3月、鉄道の開通と同時に完成した初代長浜駅。敦賀へ向かう北陸線の起点駅であり、長浜〜大津間を結んだ鉄道連絡船の駅でもありました。1903(明治36)年に現在の場所へ駅が移るまでの約20年間、日本の鉄道交通の要として働いた建物です。1958(昭和33)年、現存する日本最古の駅舎として第1回の「鉄道記念物」に指定されました。
中に入ると、駅長室や一等二等待合室が当時の面影のまま残っています。壁の厚い洋風建築のひんやりした空気は、真夏に訪ねるとちょっと心地いいくらい。明治の駅で写真を撮れば、夏休みの自由研究の題材にもなります。
🚂 北陸線電化記念館——D51とED70、運転席に座れます
かつて北陸本線の米原〜福井間は険しい山越えの連続で、蒸気機関車の時代は乗客が煙に悩まされたといいます。1957(昭和32)年の交流電化、1962(昭和37)年の北陸トンネル開通でようやく近代化——その歴史を記念して、D51形蒸気機関車(デゴイチ)とED70形交流電気機関車が並んで展示されています。
この2両、見るだけではありません。運転席に座れます。本物の機関車のレバーや計器盤を目の前に、お子さまはもちろん大人も夢中になれる展示です。2階の見学台からは機関車を上から眺められて、こちらは鉄道ファンに人気のアングルです。
🚃 長浜鉄道文化館——鉄道模型とおもちゃで遊べる
2000(平成12)年の「鉄道の日」に開館した資料館。ヨーロッパのターミナル駅を模した木造アーチの天井が印象的です。長浜の鉄道史や、日本初の鉄道連絡船の資料に加えて、Nゲージの運転体験、HOゲージのジオラマ、鉄道おもちゃ・絵本コーナーと、子ども向けの遊べる展示が充実しています。
授乳室・多目的トイレ完備、館内は屋内で雨の日も猛暑日もOK。おもちゃ・絵本コーナーがあるので、未就学のお子さまでも過ごせます。駅長さんの制服を着て記念撮影できる「駅長さん体験」も。
🪨 屋外展示——伊藤博文が書いた「本物の石額」
見落としがちですが、敷地内の屋外展示もぜひ。旧北陸線のトンネル坑口に掲げられていた石額(扁額)の実物が並んでいて、なかには初代内閣総理大臣・伊藤博文の筆によるものも。この「本物」がもともとどこにあったのか——その答えが、後半でご案内する柳ヶ瀬トンネルです。旧長浜駅で使われていた29号分岐器(ポイント)も残っています。
🌍 シベリア鉄道でパリへ——欧亜国際連絡列車の物語
「東京からパリまで、切符1枚で」。いまでは想像しにくいこの旅が、明治の終わりに実在しました。その名は欧亜国際連絡列車。1912(明治45)年に運行が始まり、新橋(東京)から敦賀の港へ列車で向かい、敦賀港から船でウラジオストクへ。そこからシベリア鉄道に乗り継いで、ヨーロッパの各都市まで行けたのです。
この壮大なルートの土台になったのが、長浜と敦賀を結んだ鉄道でした。1882(明治15)年に部分開通し、難工事の柳ヶ瀬トンネル完成をもって1884(明治17)年に全通。日本海側と琵琶湖(=京阪神への水運)が初めて鉄路でつながり、のちに敦賀は「ヨーロッパへの玄関口」と呼ばれる国際港へと発展していきます。つまり——ヨーロッパへ続く鉄路の物語は、長浜駅から始まったのです。
この歴史は現在、長浜市・敦賀市・南越前町にまたがる日本遺産「海を越えた鉄道〜世界へつながる 鉄路のキセキ〜」として認定されています。長浜鉄道スクエアで物語の始まりに触れ、実際にその線路跡をたどれるのが、このルートのいちばんの醍醐味です。
🚗 車でめぐる旧北陸線|柳ヶ瀬トンネル・小刀根トンネル
スクエアで歴史を予習したら、車で県境へ。長浜市街から北へ、木之本を経て敦賀方面に向かう山あいに、明治の鉄道トンネルが現役で残っています。
🕳 柳ヶ瀬トンネル——明治17年、当時日本最長。今も車で通れます
長浜市余呉町柳ヶ瀬と福井県敦賀市の県境を貫く、全長1,352mの煉瓦トンネル。1884(明治17)年の完成当時は日本最長の鉄道トンネルで、4年がかりの難工事の末に開通しました。鉄道としての役目は1964(昭和39)年に終えましたが、その後は県道140号の道路トンネルとして現役。つまり、明治の鉄道トンネルを自分の車で通り抜けられるのです。
坑口に掲げられた「萬世永来(ばんせいえいらい)」の石額は伊藤博文の筆。現地にあるのはレプリカで、実物は長浜鉄道スクエアの敷地に移設展示されています。館内で見た石額の「本来の場所」を訪ねる——この往復が、このルートの隠れた楽しみです。土木学会選奨土木遺産・近代化産業遺産にも認定されています。
単線トンネルをそのまま使っているため道幅が狭く、信号による片側交互通行です。赤信号は数分単位で待つことがあります(対向車がトンネルを抜けるのを待つ仕組み)。大型車・自転車・歩行者は通行できません。必ず普通車でどうぞ。
🧱 小刀根トンネル——日本最古の鉄道トンネル
柳ヶ瀬トンネルの敦賀側、車で少し走った先の刀根(とね)地区には、1881(明治14)年開通の小刀根(ことね)トンネルが当時の姿のまま残っています。こちらは現存する日本最古の鉄道トンネル。柳ヶ瀬より3年早く造られた、日本人技術者による黎明期の仕事です。明治の蒸気機関車に合わせた小さな断面が、そのまま時代の証言になっています。
このエリアへは北陸道・木之本ICから国道365号を北上するルートが分かりやすく、公共交通では行きにくいので車が前提です。せっかく木之本まで来たなら、木之本地蔵院への参拝や北国街道の町並み散策と組み合わせるのがおすすめです。
🗺 モデルコース|家族連れ半日/鉄道ファン1日
👨👩👧 家族連れ・半日コース(徒歩だけでOK)
お昼 徒歩すぐの黒壁スクエア周辺でランチ&食べ歩き
午後 大通寺の門前町をぶらり。暑い日はガラス体験など屋内スポットへ
🚂 鉄道ファン・1日コース(車利用)
お昼 長浜の町なかで昼食後、車で北へ(木之本方面)
午後 木之本の北国街道 → 柳ヶ瀬トンネルを通り抜け → 小刀根トンネル見学
夕方 余呉湖に立ち寄って長浜へ戻る。館内で見た石額の「現地」を踏破した達成感とともに🍺
長浜鉄道スクエアは屋内中心で空調があり、真夏の日中や雨の日の「困った」を引き受けてくれる場所です。逆に柳ヶ瀬方面は山あいの運転になるので、夕方より日中の明るい時間帯がおすすめ。スクエア→トンネルの順に回ると、館内で見た石額や写真の「答え合わせ」をしに行く感覚になって、お子さまの記憶にも残りやすいですよ。
長浜鉄道スクエアへは徒歩約10分——町歩きの延長で立ち寄れます。
朝いちばんの静かな時間に明治の駅舎を訪ねるのは、泊まった人だけの特権です。
鉄道スクエアと同じく天気を選ばないスポットをまとめました。猛暑日の避難先にも。
木之本地蔵大縁日(8/22〜25)は柳ヶ瀬方面と同じ木之本エリア。鉄道遺産ドライブと組み合わせられます。
長浜港へは駅から徒歩圏。鉄道スクエアと同じ日に楽しめる琵琶湖クルーズです。
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